企業のCSVとNPOのSI(ソーシャルイノベーション)
2014.06.20
最近、企業は、CSRからCSV(データファィルの拡張子名ではないですよ。)に経営戦略を移行しつつあるという記事をよく目にします。
(マイケル・E・ポーターさん 2011年、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念として提唱されたのが、CSV=Creating Shared Value=共通(共有)価値の創造 と呼ばれるコンセプト。 Can Japan Compete? Revisited Porter Prize Conference Tokyo, Japan December 5th, 2013 Hirotaka Takeuchi ここにある記事は、マイケル・E・ポーターさんの著書や論文を読んで書いているわけではありません。なので、誤解や早とちりも多いと思います。この点を考慮してお読みください。それにしても 私も含め日本人は・・・HBSという響きに弱いですね。)
企業が、企業の拠点を置く地域(世界・日本・地元地域)に目を向ける中で、地域のある社会課題に気づき、着目し、経営戦略の中では、経営数値を最終目標とするのではなく、更に大きな目標、『大儀』として、『地域・社会課題の改善・解決』を経営目標に掲げるのだそうです。そして、そこに、市場競争や市場創出、増益や新しい価値の創出を求めるのだそうです。一昔前に流行った?今でも王道?のNPO法人向けのソーシャルビジネス(SB)構想の企業版と感じました。
『NPOは、その非営利(営利)活動の中で、社会が、気が付かない社会課題に気づき、顕在化(市場創出)させ、社会課題改善を目標に公益(営利)を目指そう!』
『企業は、その営利活動の中で、社会が、気が付かない社会課題に気づき、顕在化(市場創出)させ、社会課題改善を目標に営利を目指そう!』
その活動は = 『顕在化していない社会課題(社会ニーズ)を、新たに顕在化させる活動』 である。 すなわち
= 『顕在化していないニーズへの気づきは、新しい市場の創出活動』である・・・『市場』なのだから
= 『NPO活動資金を確保できるチャンスが存在する。』・・・『今まで存在しない市場』なのだから
= 『企業にとって、新しい価値が創造され、新しい市場が創出される。』
上記の活動を実践している団体・企業も数多くあると思いますが、
当機構の活動の中では、実感がありません。違和感すらあります。
それは、当機構が、実際に行っている社会課題改善活動の範囲は、とても小さな限られた地域で、グローバルに呼び掛ける社会問題・社会課題が、そのテーマではありません。多様な社会課題と関連付け、そのテリトリーを広げることも大切!と解説しているコンサルタントもいますが、行なうは、難しです。また、当機構の社会改善活動の1つは、市場創出活動にも該当しない気がします。それは、
『地域住民は、気が付いている のに・・・ 地域住民の問題意識は、顕在化しているのに・・・地域自治体の予算がない・・・あるいは、行政では、困っている人の個人情報を公開できないなどの理由で・・・地域自治体が(では)対応できない社会課題』 あるいは、『国・地域自治体としては、そこに社会問題などない、顕在を認めたくない社会課題』に取り組んでいるからです。
ですから、必ずしも、NPO法人の社会課題改善活動が、『顕在化していない社会課題を、新たに顕在化させる(市場創出)活動』とはかぎらない。
という点も、企業が、NPO法人の社会課題改善活動を理解する上で、大切なような気がします。
CSVの説明では、よく『CSVは、経済的価値=社会的価値となる事業(活動)』と説明されているのを目にしますが・・・ 数値で考えると、上記方程式を下記方程式に代入するとCSV=2×経済価値 あるいは、CSV=2×社会的価値となってしまうので・・・ 当機構は、『CSV=経済的価値+社会的価値』とした上で、そのバリュ-やその比率を測定することを試みています。しかし、社会的価値をどう評価するか、難問題です。
HBS Creating Shared Value Explained ← ブラウザの自動翻訳で十分内容を理解することができます。
SROI (社会投資収益率) ← 英国における社会的事業の価値評価
FSG Measuring Shared Value ← 社会的共有価値の測定
ソーシャルイノベーションを担う人材育成 ← 非常にわかりやすく参考になります。
CSVの真意を理解しないまま、少し批判的な文章になってしまいました。 もう少し、CSVについて勉強してみようと思います。『企業営利活動』+『社会課題改善活動』 となる経営戦略。 新しい時代の新しい企業が、私たちNPO法人との連携活動(連携事業)に、更なる関心を持ってくださる時代になると期待しています。
【参考になると思われるサイト】
デロイトトーマツ グロースエンタープライズサービス
第1回:イノベーションに向けて突破すべき5つの壁
第2回:社会課題の掛け合わせによるビッグアジェンダ発掘/“越境”を前提とした事業モデル 構想の要諦
第3回:自社に有利なルール形成/外部を巻き込んだリーンスタートアップの要諦
第4回:イノベーションの再現性を高めるためのメカニズム化の要諦
下記の著書は、CSVについてではないかもしれません。 『Japan as NO1』 の対抗本?
当時、日本の産業保護政策の中で、日本の企業は、本当に正しい自由競争下の経営戦略が立案できたのか?一部の政府御用達企業のみの成功ではないのか? だから今・・・ 世界の正しい自由競争下で、正しい経営戦略を立案できず、脆弱化しているのではないか?よって 当時のほとんどの日本企業には、自由競争下で戦える経営戦略など存在しなかったという結論を導き出した著書らしいです。